園長だより

非認知能力を育てる

非認知能力を育てる 井深大の本を読んで 

 乳児保育について講義を依頼され、改めて3歳未満児保育の大事さについて考えている。そこで、かねてから気になっていた井深大(いぶかまさる)の『0歳 教育の最適時期』『幼稚園では遅すぎる』の2冊を読み直している。この本は、昭和40年代から60年代にかけて話題になった本である。井深は盛田昭夫と共にソニーの創業者の一人で、社長を退任してから「幼児開発協会」を設立し、理事長に就任。そこで幼児教育について一連の本を出版した。彼は「幼稚園では遅すぎる。人生は三歳までにつくられる」とし、心を育てることの大事さを強調した。当時は、知識を習得することが重視されていた時代であったが、知識(認知能力)よりも非認知能力を育てることが重要であると主張した。そして、幼児教育が知的目的から出発するのではなく、人柄を育てること、心を育てることは胎内から出発していて大事にすべきであるとした。当時は、3歳までは家庭でという流れだったので、3歳以前の家庭教育の大事さを唱えた。このようなことを世界内外の研究者のデータを駆使して展開している。近年、幼稚園業界では非認知能力の重要性が叫ばれるようになり、改めて再読した本である。

令和3年6月11日 坂本信行