園長だより

子供たちの幼稚園から小学校へのスムースな接続に向けて

 幼稚園での学びや経験を経て培った力を発揮しながら、のびのびと小学校生活をスタートして欲しいとの思いで、当園では小学校への円滑な接続を意識した園経営を進めています。その一環として、過日、仁王小学校の先生方に来園いただき、盛岡幼稚園の保育や教育の一端を見ていただきました。小学校は一定時刻に登校し、朝の会を行い、1時間目の学習に進むという流れが一般的ですが、幼稚園は、幅のある時間帯での登園、持ち物の片づけ、園庭などでの自由な遊び、その後にクラス毎の活動に入るという流れになることが多くなっています。そこで、幼稚園と小学校の違いでもある登園の様子から見ていただきました。0歳児からの保育・教育も行っていますから、保育部の子どもたちの活動と先生方の関わりの姿もご覧いただき、その後に、来年小学校に進む年長児のクラス活動を参観していただきました。

 参観後の懇談で先生方からは、「0歳から6歳までの育ちの連続性を重視している。」「個人のマークがフックや靴箱に貼られ、持ち物の片づけが自分でできる手立てとなっていた。」「自分でやりたい遊びを選択し、十分に遊び込み、満たされた表情で次の活動に移っていた。」「クラス内はひらがなに溢れ自然な形で文字への関心を高めていた」「年長児のクラス活動では、物おじせず発表する場面、発言を聞いて質問やインタビューする場面も見られ興味深かった。」等々、幼稚園の子どもたちの活動の様子について率直で新鮮な感覚の感想をいただきました。

 担任からは日々の活動の中では、個々の興味や関心事を大事にしつつ、クラス全体で共有し、関心を深めていくように日々心がけていることを伝えるとともに、一つの例として、子どもたちのトマトやキュウリの栽培について、生長観察で気づいたことを発表したり絵で記録したりすること、収穫物をみんなに配るために個数を数えることが必要になったこと、食べてみての感想を発表しあったこと等々、楽しみながら学んでいることも話しました。

 盛岡幼稚園は小学校との接続を円滑にすすめるために、5歳児を対象に小学校生活に必要な意欲や態度を育てることを目的に「アプローチカリキュラム」を作成して取り組んでいます。小学校では、入学した子どもたちが幼稚園等での遊びや生活を通した学びを基礎として新しい学校生活を作り出していくための「スタートカリキュラム」を作成しています。今回、小学校の先生方の訪問は、幼稚園と小学校の接続の在り方を考えていくうえで大変意義深い機会となりました。今後、双方が作成するカリキュラムがより良いものになるよう、今回のような取り組みをさらに進めていきたいと考えました。

 令和6年8年15日   津川 哲二

子どもたちの思い出の大切な1ページであり続けてほしい幼稚園時代

 

     過日行われた「卒園生のつどい」が「にこにこ園日記」に掲載されています。

     非常に多くの卒園生が来園しました。本園の先生方にとっても成長した子どもたちとの再会となり大変嬉しい一日となりました。市内10校を超える小学校に送り出した卒園生たちです。卒園して以来の再会となる同級生、担任の先生も多かったと思われます。久しぶりの再会で若干の緊張感もうかがえましたが、懐かしい表情や仕草が現れる中でそれがほぐれていくのが伝わってきました。

 入園時の年齢も在園期間も様々な子どもたちですが、入園当初は保護者や家族から初めて離れる幼稚園生活で、子どもだけではなく保護者も不安一杯の毎日であったに違いありません。子どもたちは、当初、先生方との関わりがメインだったと思われます。しかし、同い年の子どもが別々の活動をしつつも同じ時間と空間を共に過ごす中で安定し、一緒に遊び、ことばも交わし、物のやり取りもするようになり、成長した姿を目の当たりにするようになった保護者の不安感は軽減していったはずです。時には双方の自己主張がぶつかりあうこともあるのですが、それも徐々に折り合いのつけ方を体得し、友達感覚が芽生え、会話も広がり、さらに園内、園庭での遊びや集団活動、制作活動を仲間と体験するなかで交友関係も広がりを見せていったはずです。

 子どもたちの人生のなかで、初めての経験にあふれた幼稚園での数年間はこれからの社会を生き抜く上での基礎を培う非常に大切な時間であったと改めて感じているところです。 

  「卒園生のつどいに」集まった子どもたちの明るい表情にそのことを改めて感じたところです。

 

令和6年7月8日  園長 津川 哲二

手は放しても 目は離しません

 保育部懇談会、幼稚部の保育参観・懇談会が過日で終わりました。 幼稚部では親子で登園しそのまま午前中を一緒に過ごし一緒に降園という姿が見られました。 同じ時間帯に同じクラスの親子が登園となりましたから、いつもの登園風景とは異なり玄関前は笑顔と会話が広がり賑やかな雰囲気でした。

 子どもたちの普段の姿を園庭での遊びの様子から見ていただきました。 思いっきり駆け回る子、砂場で山を作ったり穴を掘ったりする子、枕木クライミングをよじ登る子、大型遊具の滑り棒から地面に降りる子、砂でままごと遊びをする子、地面を見つめキラキラした石を探す子等々決して広くない園庭で思い思いの遊びが展開されています。 自由にのびのびと遊ぶ子どもの姿から普段とはちょっと違った一面を見ることができたのではと思います。

 日を挟んで年齢が異なるBとAのクラスの園庭での遊びの様子を見ました。 親御さんの動きが微妙に異なっていることに気が付きました。 子どもたちと一緒に砂場に入ったり、しゃがみこんで石探しに参加したりする姿など、子どもと遊ぶ姿が多く見られたのはBクラスでした。 枕木クライミングでは体に手は触れないのですが、何かあったらすぐ支えるという態勢をとりつつ見守る姿、大型遊具の滑り棒から地面に降りる子には、受け止めるからねと手を広げる姿が見られました。 体の動きや危険回避能力がまだ十分ではないBクラスの子どもたちには当然の対応と考えます。

 一方Aクラスでは同じような遊びを子どもたちが展開するのですが、わが子の動きや関わりの様子を見つめつつ徐々に子どもたちの中に入り一緒に遊ぶという感じでした。 滑り棒や枕木クライミングを楽しむ子も多いのですが、「任せるぞ!」 というような感じで見つめています。 一人ひとりの成長によって子どもへの手助けの度合いを徐々に減らしていく姿勢のように感じました。

Bクラス、Aクラスの親御さんの姿を見て大切なことだと改めて感じたところです。

「手は離していくけれど、目は離さない」 子どもへの変わらぬ愛情を持ちつつ、できるようになったことは少しずつ自分で歩みを進めて欲しい という親の思いを感じた保育参観でした。

 今、園庭は水遊びで泥んこになった子どもたちが大喜びです。

               今日は「夏至」 夏本番の雰囲気です。

 

 

令和6年6月21日  園長 津川 哲二

子どもたちの散歩について思う

  新緑のこの時季、心地よい風に吹かれての子どもたちの園外散歩は楽しそうです。ほんの少しの時間だけ園から離れるだけなのですが、笑顔で手を振って出ていく子もいます。ちょっとした冒険に出かけるような気持ちなのかもしれません。

 散歩カーに乗ってのクラス、誘導ロープについている円い輪をしっかり握りしめ並んで歩くことを学びなからのクラス、手をつないで歩くクラスと、年齢によって散歩の参加スタイルは変化していきます。散歩は安全な道路歩行を学ぶとともに、友達と歩きながら移動する中で団体行動についても学ぶことにもなります。

 街中にある幼稚園ですが、季節の移ろいの中で、街路樹の葉の色、公園の草花、虫や鳥たち、そして街を歩く人たちの服装の変化もあります。もちろん引率する先生が、安全第一を考えながらも、子どもたちの年齢に応じて、それらに目を向けさせ、ことばで表現して伝え、関心を呼び起こしたり共感を促したりさせる中で五感が刺激され、様々なことに興味をもつきっかけにもなります。子どもたちは肌で、そして目で季節や自然を感じ、感受性を育んでいきます。地域の人に挨拶されたり返したりもあるでしょう。散歩に出かけることで、幼稚園の中だけでは気づけなかったたくさんの発見に出会えます。

 外で四季折々の自然や人と触れ合うことで少しずつ感性を育んで幼稚園に戻ってきます。


   令和6年5月31日 園長 津川哲二