園長だより

子どもたちの思い出の大切な1ページであり続けてほしい幼稚園時代

 

     過日行われた「卒園生のつどい」が「にこにこ園日記」に掲載されています。

     非常に多くの卒園生が来園しました。本園の先生方にとっても成長した子どもたちとの再会となり大変嬉しい一日となりました。市内10校を超える小学校に送り出した卒園生たちです。卒園して以来の再会となる同級生、担任の先生も多かったと思われます。久しぶりの再会で若干の緊張感もうかがえましたが、懐かしい表情や仕草が現れる中でそれがほぐれていくのが伝わってきました。

 入園時の年齢も在園期間も様々な子どもたちですが、入園当初は保護者や家族から初めて離れる幼稚園生活で、子どもだけではなく保護者も不安一杯の毎日であったに違いありません。子どもたちは、当初、先生方との関わりがメインだったと思われます。しかし、同い年の子どもが別々の活動をしつつも同じ時間と空間を共に過ごす中で安定し、一緒に遊び、ことばも交わし、物のやり取りもするようになり、成長した姿を目の当たりにするようになった保護者の不安感は軽減していったはずです。時には双方の自己主張がぶつかりあうこともあるのですが、それも徐々に折り合いのつけ方を体得し、友達感覚が芽生え、会話も広がり、さらに園内、園庭での遊びや集団活動、制作活動を仲間と体験するなかで交友関係も広がりを見せていったはずです。

 子どもたちの人生のなかで、初めての経験にあふれた幼稚園での数年間はこれからの社会を生き抜く上での基礎を培う非常に大切な時間であったと改めて感じているところです。 

  「卒園生のつどいに」集まった子どもたちの明るい表情にそのことを改めて感じたところです。

 

令和6年7月8日  園長 津川 哲二

手は放しても 目は離しません

 保育部懇談会、幼稚部の保育参観・懇談会が過日で終わりました。 幼稚部では親子で登園しそのまま午前中を一緒に過ごし一緒に降園という姿が見られました。 同じ時間帯に同じクラスの親子が登園となりましたから、いつもの登園風景とは異なり玄関前は笑顔と会話が広がり賑やかな雰囲気でした。

 子どもたちの普段の姿を園庭での遊びの様子から見ていただきました。 思いっきり駆け回る子、砂場で山を作ったり穴を掘ったりする子、枕木クライミングをよじ登る子、大型遊具の滑り棒から地面に降りる子、砂でままごと遊びをする子、地面を見つめキラキラした石を探す子等々決して広くない園庭で思い思いの遊びが展開されています。 自由にのびのびと遊ぶ子どもの姿から普段とはちょっと違った一面を見ることができたのではと思います。

 日を挟んで年齢が異なるBとAのクラスの園庭での遊びの様子を見ました。 親御さんの動きが微妙に異なっていることに気が付きました。 子どもたちと一緒に砂場に入ったり、しゃがみこんで石探しに参加したりする姿など、子どもと遊ぶ姿が多く見られたのはBクラスでした。 枕木クライミングでは体に手は触れないのですが、何かあったらすぐ支えるという態勢をとりつつ見守る姿、大型遊具の滑り棒から地面に降りる子には、受け止めるからねと手を広げる姿が見られました。 体の動きや危険回避能力がまだ十分ではないBクラスの子どもたちには当然の対応と考えます。

 一方Aクラスでは同じような遊びを子どもたちが展開するのですが、わが子の動きや関わりの様子を見つめつつ徐々に子どもたちの中に入り一緒に遊ぶという感じでした。 滑り棒や枕木クライミングを楽しむ子も多いのですが、「任せるぞ!」 というような感じで見つめています。 一人ひとりの成長によって子どもへの手助けの度合いを徐々に減らしていく姿勢のように感じました。

Bクラス、Aクラスの親御さんの姿を見て大切なことだと改めて感じたところです。

「手は離していくけれど、目は離さない」 子どもへの変わらぬ愛情を持ちつつ、できるようになったことは少しずつ自分で歩みを進めて欲しい という親の思いを感じた保育参観でした。

 今、園庭は水遊びで泥んこになった子どもたちが大喜びです。

               今日は「夏至」 夏本番の雰囲気です。

 

 

令和6年6月21日  園長 津川 哲二

子どもたちの散歩について思う

  新緑のこの時季、心地よい風に吹かれての子どもたちの園外散歩は楽しそうです。ほんの少しの時間だけ園から離れるだけなのですが、笑顔で手を振って出ていく子もいます。ちょっとした冒険に出かけるような気持ちなのかもしれません。

 散歩カーに乗ってのクラス、誘導ロープについている円い輪をしっかり握りしめ並んで歩くことを学びなからのクラス、手をつないで歩くクラスと、年齢によって散歩の参加スタイルは変化していきます。散歩は安全な道路歩行を学ぶとともに、友達と歩きながら移動する中で団体行動についても学ぶことにもなります。

 街中にある幼稚園ですが、季節の移ろいの中で、街路樹の葉の色、公園の草花、虫や鳥たち、そして街を歩く人たちの服装の変化もあります。もちろん引率する先生が、安全第一を考えながらも、子どもたちの年齢に応じて、それらに目を向けさせ、ことばで表現して伝え、関心を呼び起こしたり共感を促したりさせる中で五感が刺激され、様々なことに興味をもつきっかけにもなります。子どもたちは肌で、そして目で季節や自然を感じ、感受性を育んでいきます。地域の人に挨拶されたり返したりもあるでしょう。散歩に出かけることで、幼稚園の中だけでは気づけなかったたくさんの発見に出会えます。

 外で四季折々の自然や人と触れ合うことで少しずつ感性を育んで幼稚園に戻ってきます。


   令和6年5月31日 園長 津川哲二

こいのぼり掲揚に込められた思い

 4月26日、県庁前広場での「こいのぼり掲揚式」にAクラスの子どもたちが参加し、知事と一緒に大きなこいのぼりを青空高く揚げました。その後、ポンポンを元気に振りながら「フレ・フレ・フレ」のダンスを披露した29名は笑顔いっぱい。大きな事をやり終えたという満足感にあふれていました。

 「こどもの日」からの一週間は「児童福祉」の理念や制度の周知を図るために設けられた「こどもまんなか児童福祉週間」となっています。国や県・市は社会の大切な一員である子どもたちが健やかに、夢と希望をもち、たくましく育っていける社会を創り上げるために様々な施策を進めています。「こいのぼり掲揚式」はこの週間の理解啓発の一環として行われています。

  わが国の子どもたちや家庭を取り巻く環境は解決すべき課題がまだまだ多いことも事実です。あらためて皆さんと共にあるべき姿を求め、考えていきたいものです。

  過日、担当する子どもたちの様子を記した先生のメモ書きの中の『園庭でアリ探しに夢中なAさんとBさん、(巣穴をみつけ)「石を入れたら痛いかもね」と葉っぱを入れたり逃がしてあげたりしていました。』という一文に目が留まりました。自分たちが今やろうとしていることが、足元のことばが通じない小さな小さなアリにとってどんなことかなと思いを寄せる優しい気持ちと仕草に心底嬉しくなりました。

  連休の後半がスタートします。子どもたちと過ごす時間も多くなることと思います。親子で楽しく、そして、わが子の良さをたくさん見つけられる4日間となることを願っています。

  県庁前の子どもたちが掲げたこいのぼりは11日(日)まで大空を泳ぎます。園庭のこいのぼりも子どもたちの健やかな成長を願って泳いでいます。

 

令和6年4月30日 園長 津川哲二